バイバイテーロス
バイバイテーロス
バイバイテーロス
皆さん、こんばんは。しもべです。


 遂にTHSブロックとのお別れの時間です。

 思い起こせば、新ブロックとしてギリシア神話を思わせるデザインに喜んでいた時期がありましたね。
パックを幾らか剥きダイスが貰えるキャンペーンをやっていたので、実に10年近くぶりに真面にパック購入をしたブロックでもあります。つまりパックから初めて神話レアを引いたブロック。なんだか感慨深いですね。
もうTHSも落ちてしまうので何と無く追悼企画でも。


 まずギリシアを思わせるテーマやイラストはそれまでのMtGには無かったので中々に印象に残りました。
サテュロスなんて種族も出てきましたし、マイナーなケンタウロス・ハイドラ・ミノタウロスなどなども出てきて楽しませてくれました。


・「信心」
:何と言ってもこのブロックの価値は「信心」と言うメカニズムの出現でしょう。
これまではカードパワーを制限するためのデメリットとして扱われてきた色拘束と言うシステム自体が逆に強める事で力を得ていくというのは古株としては斬新な思いがありました。それでいて墓地が手札になるほどの凶悪さではない比較的バランスのとれらメカニズムでもありましたね。
《アスフォデルの灰色商人》や《波使い》の様な名作も生まれ、歴史に名を遺したメカニズムです。
これにより過去のカードが再評価されるようになったという点でも意味の残るブロックになりましたね。
そんなあなたには「県民栄誉賞」が相応しい。

 欠点は各カードに差が有り過ぎた事。
加えて信心稼ぎのために必然的に構築が固定化してしまった事ですかね。



・「授与」
:Aura強化企画の新段。
Auraを入れたBeatdown組みたいけど、Auraか生物かを偏って引いてしまうというデッキ的欠陥を緩和する事が出来る良好なデザインでした。惜しむらくは重すぎた大半の授与コスト。其々あと(1)マナは軽くてよかったようにも思いますが・・・。それだと強すぎるか?
ほぼ企画倒れでした。



・「怪物化」
:マナを払っても怪物になる事はありませんでした。小物でした。
精々スピッツでした。



・「英雄的」
:名前がダサい。
しかし明確にテーマとなったデッキを派生させたことは大きい。それほど速くもない環境に置いてBeatdownを成立させたわけですから、それだけは成功例と言えそうです。



・Cre/Enc
:新規格の生物群。
授与もそうですが、新しいカードタイプを持つことでこれまでに無かったシナジーを構築できるようになりました。↓環境に行くほどその手の物も多いため過去のカードの再評価にも繋がりました。
惜しむらくは《クルフィックスの狩猟者》程度しか明確に通用する生物がいなかった事。
Cre/Atfがあれだけ在るのならここら辺ももう少しKPを上げても良かった。



・「神」
:壮大な期待と仰々しい名前を背負ったデザインの割に、THS世界の住民どころかWotCの人間からも信心を得る事は出来ませんでした。《古代への衰退》《存在の破棄》《霊気のほころび》《神討ち》及び追放除去など次々に投入されるWotCの刺客たちは大して活躍もしていない貴方たちを盛大に苦しめました。
結局顕現したのは《海の神、タッサ》程度で、プレイヤー達の信心は専ら灰色商人と波使いに注がれました。
とんだ「紙」だぜ・・・。

 しかし明確に活躍したタッサだけでなくEternalで間々使われている《嵐の神、ケラノス》を生み出した成果。
及び「手の平クルフィックス」と言う語句を浸透させた功績を評価し、「THS村名誉村民」に推薦します。



 次に個別のカード
・各種占術ランド
:ショックランド以来のタップインでありながら明確なメリットのある土地。
環境を低速化したいという狙いのもと制作されたタップインですが、「占術1」が付いているおかげで遥かにゲームの挙動が安定。WotCのもう一つの狙いである展開上の事故をある程度回避できるようになります。

 個人的にはタップインデュアルランドの傑作品の一つとして評価しています。
下の環境でも低速デッキや初動を遅めにしたデッキなどには可能性を残していて、Stdでは狙い通りの環境に。初動の重要性の低さを利用し、同時にロングゲームでの事故の怖さを躱せる。
実に素晴らしいデザインであり、成果が伴う。
そんなあなたには「市民栄誉賞」を送ると同時に、「THS環境MVP賞」を送ります。



・《サテュロスの道探し》
:Cipで「4枚Topを削り中から土地を1枚調達、残りを墓地に置く」生物。
土地の調達・墓地肥やし・生物の攻防貢献に餌運用。
僅か2マナの生物ながらシナジーの塊として様々なフォーマットで各種デッキ構築に貢献し、新しいデッキの誕生にも寄与した。
Std期間も《エレボスの鞭》を一として常に運用され、Eternalでもさらにシナジー性を高め運用された。

 各フォーマットでの大車輪の働きをしたその功績を評価し、「国民栄誉賞」に評します。



・《クルフィックスの狩猟者》
:3マナ2/4とバランスの取れており安定感のあるサイズ。
そしてTopから土地を展開し続ける事と上陸に依るライフゲインの両アドバンテージを稼ぎ続けるアドエンジン。
様々なデッキに置いて運用され、Midrangeのシャフトとなった。PWの活躍にも貢献。信心も高い。
各種高いシナジーも多くデッキの組み甲斐も有る。

 それでいて3マナ掛けても対した事の無い戦闘力。
稼ぎ続ける割に小粒なアド。そして常に公開されるTopにより与えてしまう情報など、メリット過ぎない能力。

 良さと悪さのバランスが取れた良質なデザイン。
Stdは登場後から徐々に使われ活躍し、Modernでも運用される。フォーマットの垣根を超えた活躍を評価し「県民栄誉賞」を送ります。



・《大歓楽の幻霊》
:歌って踊れる《紅蓮光電の柱》。
嘗ての微妙なデザインを生物化し、普通は置き物化して下がる評価を格段に引き上げた傑作。

 性能的にStdではそこそこ程度の成果でしかなくともSlighでそれなりに使われる。
そしてそれ以上に環境が硬直しやすいEternalフォーマットに置いて、Burnの立場を一気に引き上げた。
一時期はLegacyの強デッキの一つにまで成長させたその成果はとてつもなく大きい。

 信心も稼ぐ事が出来、《吸血の絆》等のシナジーでも知られるため意外とできる事が多い。
それでいて自分のデッキ構築のある程度制限したり、相手だけでなく自分にもデメリットを与えプレイングを要求するなどバランスの取れたデザインは秀逸。

 それ程活躍していないデッキをトーナメント級に引き上げ、さらに嘗てのデザイン上の評価まで覆した。
その成果を持って「国民栄誉賞」に評します。


 
・《波使い》
:Uの新しいフィニッシャーとして確立。↓環境の魚の戦力を増強。
置き物を多数置かせるという新しい方向性をUに与え、多数のTokensを生み、起こる様々なシナジーにデッキ構築の余地を残した。
そんなあなたには「市民栄誉賞」を送ります。


・《アスフォデルの灰色商人》
:黒信心と言うデッキを各フォーマットで確立。黒コントロールの新しい形を作った。
特にCommon構築であるPauperでの貢献度がStdに次いで素晴らしい。
ドレインの新カードとして良質な戦力でもある為黒い足り得る良いカードだった。何より素晴らしかったのは安かった事。札束カードゲームと化したMtGにおける良心としても働く。
そんなあなたには「県民栄誉賞」を送ります。



・《森の女人像》
:《ユートピアの木》に「呪禁」が付くとどれ程強くなるのかを証明した生物。タフネスも上がっておりブロッカーとしての性能も上がる。Midrange~Controlを成立させる要として大黒柱として機能した。
 また速すぎる環境を遅くしたいという狙いである2マナのマナ生物でありながら、明確に機能し且つKPも保証されていた点で歴史的失敗を覆した。
そんなあなたには「市民栄誉賞」を送ります。




 ここからはその他一括。
・《太陽の勇者、エルズペス》
・《海の神、タッサ》
・《白鳥の歌》
・《思考囲い》
・《エレボスの鞭》
・《嵐の息吹のドラゴン》
・《鍛冶の神、パーフォロス》
・《神々の憤怒》
・《火飲みのサテュロス》
・《灰燼の乗り手》
・《ニクスの祭殿、ニクソス》

・《オレスコスの王、ブリマーズ》
・《迷宮の霊魂》
・《灼熱の血》

・《ニクス毛の雄羊》
・《弁論の幻霊》
・《クルフィックスの指図》
・《脳蛆》
・《嵐の神、ケラノス》
・《マナの合流点》



・特別枠
《時を超えた探索》
《宝船の巡航》
:ありがとう巡航、ありがとうDTT。
Uに在らずばMtGに在らずをLegacyで体現してくれて、MMs以来の糞環境にしてくれてありがとう。
ハンデスを締め出してくれてありがとう。
「U・ドロー・探査」これらの要素が如何に危険かを身を切って伝えてくれるその姿勢には感動したよ・・・。

 R.I.P


 しかしまぁUR DelverやGrixis Delver、「ジェスカイの隆盛」などそれまでには無かったデッキを成立させ、様々なシンデレラストーリーの誕生をさせ、淀んだ沼水の如きLegacy環境に新しい要素を持ってきた事だけは評価に値します。




 結果的にはLegacyに残った明確な成果は《大歓楽の幻霊》程度で後は微々たる影響だけ。Zen・SOM・ISD・RTRと来てもっとも近年ではLegacyに影響を与えなかったブロックになりましたね。
近年の上がり続けていたKPが調整され始めたブロックと言えます。
 その影響か、債務危機に陥りそうな金満デッキも少なめである意味では良い環境でしたね。THS後期は週ごとに勝つデッキが変わるなんて正にメタゲーム。大きな大会でも各人の読みと調整の腕が光る事が多く、見ていて飽きない環境でもありました。




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