今季のアニメの感想)鬼平・ACCA
今季のアニメの感想)鬼平・ACCA
今季のアニメの感想)鬼平・ACCA
MTGの記事に飽きたので息抜き。

・【鬼平】
:ドラマ版(2代目吉衛門)を昔はよく視ていた関係で怖いもの見たさで見始めた作品。しかし予想に反してかなりいい作品でした。
あくまで時代劇をアニメにしたものなので、ドラマとは相応に差異が生じられることも有りましたが、それでも納得。
一話完結なのに其々が起承転結がしっかりされており、時代が違っても共感できる「情」が話の軸なので入り込みやすい。まぁ中身については(原作が原作なので)半分反則の様な物ですがw世の中それでも幾らでも失敗例がある中でここまでの出来の物をよく作ってくれたなぁと。
殺陣も格好良いし、鬼平も嫌味が無く良質な大人主人公。まぁ若く身ぎれいすぎる気もしますが、慣れました。

 特に三話「暗剣白梅香」、十話「泥鰌の和助始末」は近年のアニメでも最高レベルの満足度。
無情な世界を突き詰めた前者とその中でも懲悪の清々しさの残る後者は鳥肌もの。
後は衝撃のギャグ回五話「谷中・いろは茶屋」、馬鹿し合いからの綺麗な落ちと流れるような展開の八話「大川の隠居」などかなり楽しめましたね。
そこほど面白くないと思った「瓶割小僧」でさえ最後の一瞬に胸を突かれた。どの話もそんな良さが有った。
今クールでの平均で見れば一番肌に合っていた作品でした。

 役者の所作の深さや渋みを出すのは流石にアニメでは難しい。同時に尺不足は最後まで残念。対して、無駄に長くなく、必要性の薄い部分を削ったりは出来ています。
また以前書きましたが、実写ではどうしても表現に限界のあるチャンバラでのより派手な立ち回りに構図やアングルの妙。そして容赦なく血飛沫を飛ばし斬り捨てられる悪党どもはアニメの利点でしたね。映像の点で言えば大川の隠居の巨大鯉等の表現も二次元の強みを生かしていたように思います。


 13話は最終回なら長谷川平蔵にスポットを当てる話の方が良かったように思います。
また、殺陣は派手でしたが、後半は殆ど無し。流石に体力が切れ?
扱う仕事も、盗賊の急ぎ働きばかり。他の犯罪人も扱って欲しい。
 他にも今とは多くのルール・価値観が違う点や平蔵の独善に見える部分も多く視聴者が混乱する事も有ったろうと。特に盗賊許し過ぎだろうと。あれでは鬼の部分が見えない。粋な部分を見せたいのでしょうが抽出が偏り過ぎているように思えます。まぁ基本生かして捕らえる時代に抵抗したら皆殺しは十分鬼ですがその描写が少なすぎるので。もっと死屍累々でもいいのよ?

 13話狐火で語れてましたが、本物の盗人お勤めをするのに数年かけてたらそりゃ金も無くなる。特に団員を抱えているのなら尚更で、不満が溜まるのも判る。
其れから振り返れば、「盗法秘伝」で善八が譲ってくれようとした盗賊虎の巻(盗賊の作法から実行方法、全国のめぼしい屋敷40強?の構図・侵入方法等々が記されている物)がとんでもないお宝だったと言うのがよく判りますね・・・。

十一話を録画失敗したのが心残り・・・。


・【ACCA】
:放送の一週間ぐらい前に余りに見る物が無いのでPVを何の気なしに見て、とりあえず視聴から始まり、話が徐々にうごめき始め、謎が謎を呼び~と回を重ねるごとに面白くなると言う連作のお手本のようなアニメでした。

 クーデターの黒幕がリーリウムとその一家(フラワウ区)なのは予想外でした。
個人的には劇中で言われたように、大なり小なり不満は有りつつも其々の区で平和を謳歌している現状、これ以上の富と権力を望む意味は薄いと考えていたので。
ただ、プラネッタの区長が言っていたように、統一前から持っていた資源を、資源分配の名の下に他区へ安く提供させられているとしたら確かに「奪われている」ような感覚になってもおかしくない。そもそも一つの国家が州にされ自分たちの上に王を置かれているわけですし。現体制への不満が有った訳ですね。
 しかし、エネルギー供給国の重要さは理解できますが、自分たちこそが生命線~はやや勘違いしている気も。王国の生命線の一つにはなっているでしょうが、最も重要なのは、間違いなく王国の農業収穫高の9割を占めるファーマス区でしょう。
 そういう傲慢さも相まってフラワウ区は雰囲気在りますね~。
砂漠の中の一際開発された街としてドバイを思わせますが、街中で張り付いた笑顔と溢れる花々のお陰で異様な圧力が存在している気もします。

 ウォーブラーはクーデターに意を反した事で評価を挙げました。
確かに将来を想っての行動でもクーデターとか大掛かり過ぎ。何よりACCA至上主義の危うさを理解している。一民間組織のACCAは手段でしかない事と群衆の統一意識ののままに行動するのは確かにオカシイですからね。
周りの連中より遥かに視野が広い。


 結局王様と枢機院長の思惑が出発点であり、真の首謀者だったと言うのは以前のエントリーの時からの予想通り。
ジーンを当て馬にすると言うのも予想通り。ただ、不穏分子の排除は当然予想外。また一連騒動は馬鹿王子とジーンのどちらが優れた器量を備えているかのテストなのではないか?と思っていたので、最初からジーンを玉座に付かせる気が無かったのも意外でした。

 どう状況を解決するのかは疑問でしたが、すっと梯子をかけ替えるだけと言うのはお見事ですね~。
作戦を潰すのではなく乗っ取り利用するので、最少の労力で最大の成果。組織人だけでなく、民衆の前であそこまで状況が出来上がるとリーリウムも馬鹿王子も首を縦に振るしかないですからね。
ジーンの母親の「いつか父親の力になる為に家から離れる」と言う意思と願いは巡り巡ってジーンによってなされたわけですね~。

 しかし枢機院長はジーンの存在の噂流す(+馬鹿王子成人式典への監察課の招集)だけで、ここまで総てを操るってすごいなぁと・・・。
時折この手の2~3言葉を紡ぐだけで、ドミノ倒しを引き起こす真の黒幕タイプはいますが、本当に恐ろしい。綺麗な黒幕だったから良かったものの。役者が違う。
個人的には枢機院や中央議会ももう少し話に表から絡んでくるかと思っていましたが、それは無かった。


 無表情+自身を語る事も少ないせいで、最終的にジーン自身が何を思って行動しているのか等々、最後まで捉え所がなかった。
多分そこまで大したことは考えて無くて、平和に今のままの日常・人間関係で過ごしていく事が望みでしょうが。何考えてるか判らないので大物感が強いですよね。
 ついでに、最後の最後もやっぱり移動願い破かれてたわけで、あれは何故・・・?

 そのた多数の伏線が散りばめられていた作品だけに見返してみるとかなりおもしろい。推理小説を読み直しているようです。
特に成人式で各地の有力者が集まる3話は発見が多い。リーリウムは実は殆ど嘘を言っていないし、ニーノはダブルスパイ且つジーンの護衛をしつつ、実は情報操作もしています。
他にもジーンが各区から煙草を貰ったり接待されたり状況。区ごとの自治区への愛着や他区への意識等々。OPの構成。
観る程に情報が隠れていますね。


 話を重ねるごとに面白くなっていく。鉄血とは真逆です。
特に好きなのはキャラの思惑が錯綜する三話、優しさと痛みの詰まった過去が明かされる八話、幸せの在り方の違いを静かに示した十話。声優も全体的に良い仕事してましたが、中尾さんの王様役が本当に嵌っていたと思います。バイ菌マンとフリーザ様のせいでどうしてもネタが先行されてしまいますが、穏やかで深みのある演技に驚きました。
 ヒロインでは10話のロクステッラが好み。無機質なように見えて思慮深い言動と時折滲ませる情のギャップにやられた。ただ砂漠・荒野での制服の半袖短パンアレンジは寧ろ被害拡大だと思います。
作中一番笑ったのはレイル君のストーカー活動中のマギーへの「お前ロッタちゃんのストーカーだろ!?」的な台詞。

 全体を通してスタイリッシュ且つスマート。淡々としていても各話に意味が有りみていて面白い。
全6巻分をやったお陰で纏りや終り方も素晴らしい。派手な描写や劇的な展開が無くても彩とりどりの世界観と話で十分補える良い作品でしたね~。OP/ED含め使用されている楽曲の出来も良い。
一巻当たり4話入りで全3巻のBDの仕様も好感。2話ずつとか交換するのも面倒ですしね。



 見た目云々やキャラ云々よりも話に重きを置いた作品だった2つ。
今後もこういうのが定期的に供給されると良いんですがね~。しかし深夜アニメの需要には合ってないだろうなぁ・・・。


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