皆さん、こんばんは。しもべです。


 タイトル通り読書。
ミステリーは好きだけど、本格物は長いしあまり仰々しいトリックとか使われてもよく判らない・想像できないので、基本的には短編や日常のミステリーのような小規模物が好き。米澤穂信の作品だったりにわか探偵団シリーズとか読むのもここから。

 一時期は凡人の主人公+変人系超人のミステリーが流行って乱造されていたのですが、最近はやや落ち着き気味? そんな時期に出会ってとりあえず購入し放置していたこの謎好き乙女シリーズ。夏頃に2冊、最近残りの2冊を読みました。
ラノベと一般文芸の中間の様な存在で、多分レーベルもそういったライト層向けに発刊されているようです。
・謎好き乙女と奪われた青春
・謎好き乙女と壊れた正義
・謎好き乙女と偽りの恋心
・謎好き乙女と明かされる真実
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著:瀬川こう


 ラノベの様な変人ヒロインと主人公が小気味よく罵詈雑言を浴びせあうのはまぁご愛嬌。
ミステリーの規模も日常のミステリーなので好み。ただやや展開やトリック、解法が強引なのでは?と言う疑問も。
が、最終巻に置いて「ミステリーの発生要因は動機と状況の2パターンがある」的な文が有って、この作品は動機≒犯人たちの心情や葛藤からくるものが大半。なので日常にミステリーの溢れていない人間にとっては、そういった犯人たちの心が判らないのも致し方なし?少なくともそういった物語構成があるというのが見れただけでも悪くなかったです。

 まぁ主に登場人物たちが青春真っ只中の高校生なので、その面倒くさい青春模様が色々な案件を引き起こす様は、疾風怒濤で特別ですよね。大人の視点では投げてしまう部分にまでいちいち葛藤する様は青臭いなぁと。共感は出来なくともそういう事もあるだろうと思う事は出来ます。
 最後主人公とヒロインの結論も、今一つ納得できないのですがそもそも、「普通の人間+天才変人の話」ではその結びが平々凡々過ぎると考えていた前提が違っていたのであり、「変人たちによる変人視点の一般的な葛藤」を描いた作品だったと理解すると結構納得。
ミステリーでありながらも、実際には相互理解や愛・感情の在り方を描いている作品だったのだというのも最終巻でやっと気が付きました。

 叙述トリックが多いので、それも人によっては評価が分かれそう。
個人的にはややかみ合わない部分がトリックが明かされる事でうまくつながっていく様は好きなのでこの程度は問題なし。あとは主人公とヒロインの二人は協力関係に見えながら実は化かし合い出し抜きあう関係を続けているのは中々面白いですね。お陰で最後の方まで話や論点の決着の仕方が見えない。人物造形も捉えづらい。


 という事でミステリーの規模、トリックの作り方、本質はミステリーではなかった点等々特異性が目立つ作品だったと感じました。それを受け入れられないと不満が溜まりそうですね。
個人的には人間の心理に焦点を当てすぎた2・4巻は共感しづらく微妙。導入の1巻はそこそこ、人物像が徐々に明らかになりながらも化かし合いも多めの3巻が一番面白かった。一番好きな話は3巻第一章の「花火が中止だとくじ屋が儲かる秘密」でした。

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