今更ながら、君の名は。合わせて新海作品3つの感想
皆さ、こんばんは。しもべです。


 そう言えば、年初めにやった「君の名は。」の感想書いてなかったと思いだし、ついでにまだ見てなかった「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」も鑑賞したのでそちらの感想も合わせて書こうかと思います。

・「ほしのこえ」
:何十年も先の未来でその時点の技術によって繋がっていた二人がその技術によってどんどん引き離されていく。どれ程技術的な事が進んでも人の想いや本質が変わる事はないのかもしれないと思わされました。技術的な発展の中でも、届けたい・通わせたい想いは有って、それが届けられない事への葛藤や苦悩は永遠。しかも思いは残しながら、焦がれながら一歩一歩より遠くになってしまっているのは余計に辛い。
また、機械化し未来になる程にノスタルジックで、原風景への郷愁は変わらないと言う事かも。

 しかしその舞台背景故の感情が想起される反面、切ない少年少女の物語の中で、ロボットと地球外生命体との戦いが描かれると言うのは何とも・・・、独特の域を超えて違和感が際立ちシュールに感じました。



・「秒速5センチメートル」
切なく、もどかしい。物悲しいと言う面もありますがそれ以上にもどかしい。そして空しい。
しかも現実的。子供の頃の「運命のデアイ」の無力さを表しているようでした。ただ一つボタンが上手く嵌ればこうはならなかったのに・・・と言うもどかしさがこみ上げる。話の規模が現実的な分「ほしのこえ」よりもそのもどかしさが見え隠れしているように感じました。

 割と現実を見据えていたヒロインに対して、主人公はいつも思い出を、遠くばかりを眺めていた結果現実を見る事すらできなくなっていってしまったのでしょうね。子供故に純粋で近視眼的であり、半端なまま思いだけを残した悲劇。正直何やってんだよ・・・と深々と思います。
 ただ徐々に徐々にと見える5㎝/秒ですが、実際は3m/分と見た目や想像ほどに遅くはないかも知れない。其処の意識の差が結果的に大きな罠になっているのかもしれないと思うと人生の難しさや無情さを感じます・・・。


 同じようなテーマの「ほしのこえ」に比べるともどかしさと苛立たしさが先に来てしまいます。先の作品の様にどうしようもない事情と言う訳でもなく勝手に疎遠になり且ついつまででもそこに拘って囚われ続けているので。
もっと言えばもどかしいと言うより、焦燥感や嫌悪感や苦しさ、そう言った負の感情で心を掻き毟られるようでしたね。
第3話を見た後にもう一度1話目を見返すとその威力は凄そうです。破壊力とかよりももっとえぐく心を歪にまだらに削り取られるような感じですかね・・・。あぁ辛いつらい・・・。
嫌だいやだ。
後悔とまでは行かなくとも過去の事で屈託を抱えている人には良くも悪くも絶妙に響く作品だったと思いました
ポプテピピックでも見て気分を変えるべきだなw



・「君の名は。」
:場面場面の描写には気に止まる部分は有るものの、全体で見ると魅かれると言うか込み上げる物はそこまででもない。綺麗によく纏まった優等生であり、面白いとは思いますが、他作品の方が遥かに琴線に触れる物が多かった。
まぁこれはどうあっても個人の嗜好の差でしかないでしょうね・・・。

 そしてこれ新海誠か?と言う感じも・・・。
前評判通りの大衆向けエンタメ。人物造形やストーリーラインから話の帰結まで躍動感や爽快さに溢れる形で纏っており、特別ストーリーへの含意も感じない。見れば見る程ゆったりとした情緒の積み重ねを行う監督の作品らしさからかけ離れていると感じました。瀧君だったら秒速5㎝の結果は変わってそうですよねw まぁ執拗にメッセージ性などを詰め込もうとしない分ジブリなどに比べてすっと話に入る事ができる。
何だかんだとしこりの残らないハッピーエンドは嬉しい物ですし。
映画単体よりもBGMのスパークルの方が寧ろ好き。こっちは一発で来ました。PVと併せてそちらの出来が良すぎた。

 視聴前から結構ネタバレ喰らってたし、何も無いまっさらな状態で且つ映画館で大きなスクリーンと周囲から包まれるような音響の中で観ていたらもっと深く入り込めたかもしれません。
それに見ていて楽しかったことに違いは有りませんからね。所詮その「楽しい」と言う感想の中の差でしかないので、十分見て良かったと思える作品でした。

巧く纏まらないので箇条書きで気になった所。
・互いに何処に/いつ惚れたの?
・口噛み酒?口謹製の酒を飲んだと言うのはかなりエロイですね。
・髪留め紐を3年前に渡し、その三年先の人からタイムスリップ?で直後に還してもらう。何か素敵。
・やってる事は表面上完全にテロリズムなのにBGMが「スパークル」と言うのが凄い・・・。
・一番最初に出てきた流星の幻想的な印象が、後半では凶星への恐怖に代わるのは見返した際の印象操作。
・互いの名前を書こう~はベタだがグッときました。
まぁ現実的に考えれば張り手レベルですけどまぁ青少年のやる事やけんねw
父親を三葉がどうやって説得したのかはしっかり描いてほしかった
元々親との不和と言う屈託を抱えていた存在であったので、瀧君との邂逅で覚悟を決めた彼女の成長を見出せる格好のシーンなのですが・・・。
EDではもっと沢山言葉をかけ合う案も出ていたらしいですがあれぐらい、少し物足りないぐらいの方が良いと思います。
もう一声!ぐらいの感じが出てくる余韻に浸れるので
。語り過ぎない事やその中で生まれてくる「間」が好きなので、あの展開はこの作品の中で数少ない好みに合致した部分でした。



こんなところで。あとは「雲の向こう、約束の場所」と「星を追う子供」。
今すぐとは思いませんが半年~一年ぐらいの間を空けてレンタルでもしてみてみたいと思っています。

コメント

Hotmilk
2018年1月28日17:57

お酒というのは要するに、原料のでんぷん質を糖化させてから発行させるのですが、糖化工程を人間(の唾液)が行うというのは古来から行われており(海外は知らん)、昔の人もなんか汚いなぁ・・・と思ったかどうか分かりませんが、巫女さんにやらせていたそうです。
「どおれ今年の酒の出来栄えはどうかのう・・・?ついでにこちらの酒の味も儂が確かめてやろう」
「らめぇ」
という会話が交わされていたであろうことは想像に難くありません。

>父親を三葉がどうやって説得したのかはしっかり描いてほしかった。
ここは私は全くいらないと思いました。人それぞれですね。

しもべの一人、H
2018年1月31日21:17

>Hotmilkさん
コメントありがとうございます。

お酒は神酒として納める事も巫女(巫子?)さんと関係が有るのかもしれませんね。でも、正直生理的な問題は置いておいても、そこにはドリ付ける発想は凄いと思いました。最初は偶然なのかもしれませんけど、それでもよくそれが体系化したものだと初見時は感心しました。

>三葉と父親の~
何を重視してみているのかで変わってくるでしょうしね。
私は二人の出会いからの人間性の成長や変化と言う部分をよく重視するので。でも物語の大枠からすれば省いても問題はない部分ですし、そうするとくどくどしいかもしれませんね。

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